ほくほくと。

 

 

ようこそ、宇宙喫茶 くらげやへ。

 

 

 

 

いやぁ、よく眠りました。

 

私は、しとしとと柔らかい雨の降る夜は、

普段よりもぐっすり眠れるのです。

 

そうでなくとも、静かな雨音というのは

心を穏やかにしてくれますね。

 

 

そんな中で、部屋を暖かくして本を読むのは

私にとって至福の時間です。

 

 

 

大きなことを達成しなくとも、

人生、いえ、1日の中には

たくさんの幸福がありますね。

 

 

 

子供の頃は、わかるともなくそれが分かっていて、

 

大人になると、一度すっかり忘れてしまい、

 

 

もう一度出会う。

 

 

そんなような気がします。

 

 

きっと、大人になると

急に世界が広くなるものだから、嬉しくなってしまうんでしょうね。

 

 

実際は、本質的なもの、大切なものというのは

存外に狭い世界の中でもたくさん見つかるもので。

かえってそのほうが、分かりやすくて良かったりします。

 

 

 

人間、どうしても欲はありますが

たくさんあり過ぎても管理が大変ですし、

なにより人間は非常に飽きっぽいです。

 

 

外側から得るものは、大抵「もっと」と思ってしまうものばかりだそうですよ。

 

キリがないものなんでしょうねぇ。

 

 

食べる、ということにしても

 

おいしく食べているうちは良いですが

 

目が欲しがるからといって、限度を超えて食べていると

だんだん気分が悪くなってきて、せっかくの良い気分が台無しになることも。

 

 

これは、案外皆さん経験があるようですよ。

 

 

そうやって、ほどほどを学んでいくのでしょう。

 

 

ただまぁ、これほど分かりやすい物ばかりではありませんから

何回も何回も、失敗する忍耐が要るかもしれません。

 

 

 

何度も何度も追いかけては、ずっと何かが違う。

 

何かが、欠けたままのような気がする。

 

最後には、疲れてしまって、

もう、いいや、とか

どうせこんなものだ、とか。

 

諦めるように、なだめるように

ほどほどを選んでいるように感じてしまっても。

 

でも、大丈夫です。

 

 

人間は逞しくできています。

 

 

 

そんなことの後にこそ、

 

自分だけの小さな幸福が見つかったりするものです。

 

 

 

何にもなくなった後に、それでも最後まで残っていたもの。

 

散々歩いて疲れ果てた後に、ぐるりと回ってまた帰ってきていた場所。

 

 

 

 

そこまでの物語と、そこで得たものは特別です。

 

 

自分にしかわからない幸福。

特別な意味。

 

そういうものは、他人に説明する必要はありません。

 

 

1人ほくほく、大切に持っているもの。

 

それで良いのです。

 

誰に証明する必要も、理解してもらう必要もないもの。

 

 

自分だけの宝物。

 

そういうものが結局は、

私たちを救ってくれるような気がします。

 

必ずしも、幸福、とは

感じられなくても。

 

 

 

 

 

 

ところで、冒頭の読書の話に戻るのですが

昔読んだことのある本を、再び読んでみたことはありますか?

 

 

私は気に入った箇所に折り目をつけて読むのですが、

数年経って読み返すと、折り目の位置が過去の私と全然違っているのです。

 

今までは思いもよらなかった感想を持ったり、

あるいは、以前は感銘を受けた箇所が、なんだか陳腐に感じられたり。

 

 

気がつかないところで、見えないところで、

何もかもが、常に変化しているのがこの世界です。

 

無論、私たちもその中に。

 

 

同じではない、と感じられると、

なんだか愛おしく、そして誇らしいような気持ちになります。

 

それも、あなただけのもの。

 

 

 

なかなか、良いものですよ。

 

思い出すこと、気づくこと。

 

 

面白いですね。

 

 

世界は、私たちは、

なかなかどうして、面白い。

 

 

 

 

 

それでは、またのお越しを。